日本語の起源と中国語
やまとことばと呼ばれている言葉の中にも中国語が含まれている。日本語には中国語が重層的に含まれているのではないか。
論文
- 古代漢語借用語と日本語の系統論 - 中部大学附属三浦記念図書館
- 日本語の源流と形成
- 「これからわかることは古代中国語と古代日本語、あるいはそれ以前の古墳語、弥生語が古代中国と史的関係を持っていたということである。その史的関係とは何かといえば、最も信憑性があると見られるのは、古代中国語、あるいはそれと同源の占代中国語以前の中国語が何らかの理由により、日本列島に流入し、最終的に古代日本語の語彙として使用されるようになったということである」
小林昭美
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日本語千夜一話 小林昭美(小林 昭美 - Webcat Plus)
- 第10話 日本語の語源
- 第11話 やまとことばはクレオールである
- 『「やまとことば」はそもそものはじまりからクレオールであった可能性が高い。「やまとことば」の言語構造は朝鮮語と酷似し、語彙は中国語あるいは朝鮮語訛の中国語を多く含んでいる。神代の時代から純粋な「やまとことば」がこの日本列島で話されていたとう想定は神話にすぎない』
- 第30話 万葉集のなかの外来語
- 第35話 弥生時代の日本語
- 「弥生時代の日本語の語彙はすでに、朝鮮アルタイ系のものは少なく、中国語を語源とするものが多い」
- 第49話 文選読みの話
- 「これらはいずれも文選読みの一種である。日本語も朝鮮語も、語彙は中国語からの借用がきわめて多く、実態上混合言語である。借用語について音と訓を併記して、その音と意味が間違いなく伝えられるように工夫したのが両点である。現代の日本語でも、英語と日本語を併記している例がみられる。シテイバンク銀行、ロングアイランド島などは現代における両点といえるだろう。また、センソウジ・テンプル、ゾウジョウジ・テンプル、タマガワ・リバー、エドガワ・リバーなども2ヶ国語併記の例である」
- 第52話 北京音・朝鮮語音・日本漢字音
- 「しかし、訓読みがすべて「やまとことば」かというと、そうではないらしい。訓とされていることばのなかには、日本が本格的な文字時代に入る以前に中国語から借用された語彙がかなりふくまれている。それを仮に弥生音と名づけることにする」
- 第65話 やまとことばは純粋か(1)
- 第66話 やまとことばは純粋か(2)
- 第67話 やまとことばは純粋か(3)
- 第96話 クレオール誕生
- 「ピジン・クレオールは、基本的に書きことばのない言語であるため、発音にはかなりの揺れがみられる。lとrは区別されないことが多く、pとfも混用される。ドミニカ・インディアンは子音で終るすべての語に母音をつけたので、たとえば、chin(あご)はchin-neとなる。これらの特徴は、日本語の特徴とかなり似ているように思われる」
- 「日本語が最初に中国語と接触した時も、ピジンやクレオールの時代を経験したと考えられる。日本語もピジン化の過程を経て形成されてきたと考えると、弥生時代の日本語に中国語からの借用と思われる語彙がかなりあること、日本語の構造が朝鮮語と同じであり中国語とはかなり違うこと、近隣の言語に日本語に似た言語が発見できないことなどがかなり整合的に説明できる」
- 「古代日本語は高麗系の言語を母体として、朝鮮半島の漢の植民地で形成されたピジンの特徴を受け継いだ言語である可能性がある。現代の日本語のなかには縄文時代のことばはほとんど受け継がれていないようである。狩猟採集民族のことばに含まれているはずの動物の内臓や根菜類に関することばは年代の日本語ではほとんどが中国語からの借用語であり、やまとことばの語彙は継承されていない」
リンク
- 擬態語の起源は古代中国語ではないか?: 静かなる細き声
- 日本語の数の数え方
- 「おそらく、現在、ほとんど全てのの漢字に「訓読み」があることから考えても、「大和言葉」(和語)というものの多くは、漢語の翻訳語(「訓読み」)として新たな意味を付加され、再編・体系化されていったものと言っても過言ではないと筆者は考える」
- 「さらに言えば、日本語なる言語が最初から存在して、それが漢字・漢語を取り込んでいったのではなく、むしろ、漢字・漢語の翻訳作業の中で、初めて日本語と称せるような言語が編成・体系化されていったものと考えるのである」
- 大和言葉(やまとことば)に潜んでいた外来語、見抜けなかったトリック
- 「昔の日本人が古代中国語の語彙を当時の日本語の発音体系に合うように変形しながら取り入れている点だけでなく、古代中国語から日本語への語彙の流入が従来考えられてきたよりも早い時代から始まっている点にも注目してください」