オレンジという名前のマイコン

オレンジって?

1970年代末-1980年代初にアドテックが発売していたマイコン。 まだパソコンという呼び方は無かったと思う。 (広告では1980年11月号までは普通に売られていたのは確認済。1981年2月号でSC/MP IIIのSBCが出ているので、このころ終売か?)

オレンジという名前で誤解されがちだがアップル互換機ではない。そもそもCPUが異なる。 (Apple互換機のオレンジはこちら: Orange Apple II clone | 102662865 | Computer History Museum )

私が使っていたわけではないんだけど アップルに対抗した名前は覚えている。 ネットでも情報は少ないので、いまのうちにメモしておく。

仕様

  • アドテック社
  • CPU: SC/MP II (スキャンプと呼ぶ)
  • ROM: 6KB
  • RAM: 16KB
  • カラー8色
  • 本体価格99,800円。別売電源12,000円。
    • 当時のPCの価格は20万前後が普通。AppleIIが30万円台のころ。

I/O 1979年10月号p.203 工人舎広告

COMKIT 8060/8061 (オレンジの元?)

CPUにSC/MP IIを使ったマイコン。SC/MP II 4MHz, 4K BASIC(NIBL BASIC) ROM。ボード増設で拡張できる。 (I/O 1978年6月号P.26,P.27に広告あり。ロビン電子、アドテックが扱っていた)

紹介記事

I/O 1979年8月号 P.180 に紹介記事「カラーBASICが使える超安価パーソナルコンピュータ」が掲載されている。

  • CPU: INS8060 (SC/MP II)
  • RAM: 16Kbit DRAM * 8
  • TV I/F: 28x16の文字表示、64x64のグラフィックス、文字は5x7dot 英数・特殊文字・カタカナの128種類。
    • グラフィックは文字と混在可能
  • 電源は別途用意
  • 整数BASIC。@がメモリアクセスなどTiny BASIC風味。
    • 論理演算もある。

I/O 1979年8月号

月刊マイコン1979年9月号 P.63 に紹介記事「夢の低価格を実現!カラーBASICコンピュータ ORANGE」が掲載されている。

  • 変数は26個A〜Zの文字を使用
  • メモリは外部A-44バスコネクタを用いて48KBまで拡張することが可能(但し拡張したメモリーはBASICのテキストエリアとしては使用できない)

月刊マイコン1979年11月号 P.30 「ORANGE 超低価格のカラーBASIC」 月刊RAM1980年1月号 P.110 「ORANGE(アドテック)の皮をはぐ」

COMKIT8060の紹介記事「10万円以下でBASICを COMKIT8060」が、I/O誌1978年7月号P.115に掲載されている。

その他

  • 「制御用BASIC-NIBL搭載 アドテックシステムサイエンス COMKIT 8061」月刊マイコン1978年11月号P.40

CPU (SC/MP II)

National Semiconductor の 8bit CPU。

宮永好道先生が雑誌連載していたり、名前は有名だったと思う。 アドレッシングは充実しているというか独特。 マイクロコードを使っていて当時としても遅い方。

BASIC

NIBL BASICが売られていた。簡単にBASICが手に入るのも魅力であったと思われる。

解説記事が月刊マイコンに掲載されていた。

  • 「連載1 NIBLの仕様から応用まで」 月刊マイコン1977年8月号 P.54
    • タイニーベーシックの全仕様を含むスーパセット・インタプリタ
  • 「連載2 NIBLの仕様から応用まで 応用−1」月刊マイコン1977年10月号 P.80
    • SC/MP-DISASSEMBLER
  • 「連載4 NIBLの仕様から応用まで 最終回」月刊マイコン1978年2月号 P.76

BASICプログラムも掲載されていた

  • 「NIBL BASIC Program」月刊マイコン1978年8月号P.26
    • 曜日さがし、雀球シミュレーション
  • 「マイクロコンピュータ(SC/MPII)による自動作曲システムハードウェア編」月刊マイコン1978年9月号P.44

仕様等は下記から参照できる

SC/MP自作派の方々

ヤフオクとか

オレンジそのものはさすがに見たことはない。SC/MP関連の資料はたまーに売られている。

  • 2016.07.04に出品されていました。

写真