沖縄戦が人口構成に与えた影響

1945年の人口構成図(人口ピラミッド)

戦後すぐ(1945年12月)の人口構成。この論文には同時期の「本土」のグラフもある。

1945 年 12 月の沖縄島の人口ピラミッド

  • 戦争による人口構造の変化と人的被害の諸相 ―沖縄と「本土」を比較して―
    • 「21歳~45歳男性の人口減少率は5割を超すが、中でも21~25歳男性の人口減少率は約6割と際立っている。既述の通り、1944年の沖縄県の人口性比は81.7であったが、沖縄戦を経て沖縄島の人口性比は70.6にまで落ち込んだ」
    • 「3万とも4万ともいわれる「戦争未亡人」の数は定かではないが、戦後長らく、結婚適齢期の男性が少なかったため、多くの女性が結婚できない状況が続いた。極度の貧困状態にあった子どもを抱えたシングルマザーの大量出現は、「本土」以上に過酷な状況下で沖縄の社会保障の深刻な課題となっていたが、そのような持続的な沖縄戦の影響も世代別に人口性比を検証することで見えてくる」
    • 「このように「本土」においては、戦争の人的被害は徴兵された青壮年男性(特に20代)に集中しており、満遍なく人口ピラミッドが破壊された「地上戦」後の沖縄とは大きく様相を異にする。」
    • 「事の発端は、2008年の前期高齢者交付金制度の運用開始である。そもそもこの制度は、高齢化の進展に伴って赤字が拡大していた国民健康保険財政に対する支援が目的で創設されたという。当該制度の運用により、「前期高齢者」の人口比率が高かった沖縄県以外の都道府県では国保財政が改善し、それ以前の赤字を解消するまでにいたったようである」
    • 「しかし、沖縄県では、上述の通り、戦争の影響で当該世代の人口が極端に少なかったため、「前期高齢者」の割合に応じて公布される交付金が他都道府県と比べて極端に少なくなり、県内市町村の国民健康保険財政を圧迫する事態が生じたという」
    • 「そのため、沖縄の国保財政は悪化の一途を辿り、2008年度から15年度にかけて、県内の市町村が国保財政の赤字を補填するために一般会計から支出した総額は637億円余りにも上ったとされる。この問題について報じた地元紙の社説は、「沖縄戦で国策の犠牲になった上、そのしわ寄せを県民が負わされ続けるのは不条理極まりない」と訴えた」
  • <社説>国保交付金格差 沖縄戦のつけを解消せよ - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト
    • 「制度導入後に厚生労働省は、以前の制度より「交付金が少なくなったのは事実」と不備を認め、厚労相は「沖縄の特殊事情を勘案し制度に反映させたい」と約束した」
    • 「その後も県、市町村が制度の改善を訴え続けているが何ら改まっていない。政府のこの間の無作為を厳しく批判せざるを得ない」

2010年時点の人口ピラミッド。65歳前後の急激な人口の落ち込みは戦争当時の0歳児世代。

(平成22年(2010年)国勢調査資料であり、敗戦時1945年生まれが65歳)

沖縄県の人口ピラミッド

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