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アルメニアのメツァモール原発




メツァモール原子力発電所(Metsamor Nuclear Power Plant)



(CC BY-NC-ND 3.0) by Petr Smolik

FAQ

「トルコ東部地震によりメタモール原発が損傷し放射能が漏れている」という噂についての質問と回答。

詳細やニュースソースは、この記事の後ろの方を読んでください。 このサイトの内容に疑問をお持ちの方は、後半に掲載しているニュースソースを調査いただけると幸いです。誤りがあれば、お知らせいただけると助かります。

Iran Japanese Radioの情報だけを元にしたブログ記事や、にちゃんねるまとめサイトの情報が出回っています。本当に正しい情報か確認してますか? にちゃんねるまとめの問題については togetter:ハム速のデマです を参照のこと。ネットのデマについては「デマの検証サイト一覧 」を参考にしてください。


目次:




現状の簡単なまとめ

事故があって放射能漏れという記事のソースは Iran Japanese Radioの日本語記事「トルコ地震で、隣国アルメニアの原発に被害 」しかないようです。Iran Japanese Radioの英語版にも今のところ見つかってません 。現段階では誤報あるいは単なる噂の可能性が大きいと思います。 (そもそもこの記事で情報源とされているzaman紙がこういう記事を載せています。「アルメニア:地震は原子力発電所に被害を与えていない 」)

アルメニア側は情報を否定 しています。原発付近では震度3(日本震度階2)で、アルメニア国内の建物にも被害なし 。アルメニアとトルコは仲が悪いようで(Wikipedia:トルコの国際関係 )、アルメニア側のニュースでは「トルコがメツァモールの放射能漏れについてケチをつけたのはこれが最初ではない(アルメニア資源エネルギー庁) 」です。

今のところトルコ側のモニタリングでは問題なし 。アルメニアや隣国(アゼルバイジャン、グルジア)のモニタリング情報は探せていません。そもそもWebで見れるような場所にあるのかどうか...

この原発が「日本製原発を基にしている(なので日本のメディアは報道しない)」というデマが流れています。「Wikipedia:メタモール原子力発電所 」を読んでください。旧ソビエト製です(耐震については旧ソビエトで一番だとの報道 )。その他、アルメニアに関する蔑視情報やら何やら流れてて頭痛いです。

位置関係

震源地からの距離は200Kmぐらいかな。 右図はアルメニア大地震とアルメニア原子力発電所の閉鎖 (14-06-04-03) より引用。左図のgoogle map



私の推測

このページで参照している情報のうち、英語以外の言語については機械翻訳に頼ってます。ソースURLを付けていますので、なるべく原文を見て判断してください。

日本語に翻訳していただける方、翻訳情報を掲載しているサイトがありましたら ご紹介いただけると助かります。間違いや新情報があれば指摘ください。

たぶん情報は以下の順に伝わってる。 (2010/10/29に arannews.ir に関する記事を追加しました)

最初のプレスリリースでは「自然のバックグラウンド放射線レベル以上のいかなる線量・速度・値も検出されなかった」であり、添付されているグラフも問題なし。100nSv/h前後(1mSv/年ぐらい)なので、たしかに自然のバックグラウンドレベルぐらいです。

ところが次のzamanのニュースが問題で、TAEK筋の話として「メタモール原子力発電所が受けた損傷の復旧作業が行われていると伝えられた」「地域内の放射線比率が通常の値の少し上であることが証明された」「漏洩は今のところ人間や環境の安全の観点から驚異になるものではない」という記事になっています。観測された値についての話がTAEKのリリースと異なっています。また、zamanは続報で「アルメニア側は事故を否定した」との記事を載せています。 (この記事の全文翻訳は「アルメニアのメタモール原発に関するニュースについて 」にあります)

これをイランのニュースサイト AranNews.ir がペルシア語の記事にします。 ペルシア語なので内容はよくわかりません。機械翻訳によると最後の部分で「イラン国営放送IRNAによると、破損した原子力発電所を修復するアルメニアの専門家がその活動を開始した、と新聞は書いている」と書いています。

最後のIran Japanese Radioの記事は、AranNews.ir の記事を翻訳したものだと推測できます。Iran Japanese Radioの記事添付の写真に "AranNews.ir" のクレジットが入っています。 ただし「アルメニアの原子力専門家らは、この原発の被害を受けた部分の修復作業を開始したということです」とか「メツァモール原発からの放射能漏れの量は、それほど多くはないが、緊急速報によれば、この原発の周辺地域で検出された放射能の量は、基準値を超えている」となっており、TAEK筋がアルメニアの原子力専門家になってたり、zamanでは基準値以下だった放射線量が逆になっています。

どうも伝言ゲームのように情報が変化しているように思われます。

zaman, Iran Japanese Radioの「修復作業を開始」は、たぶん、9/11から行われている作業の誤解だと思います。アルメニア側ニュースの英文記事でこの作業をrepairと表現しているものがあります。また、「ストライキ中の労働者が10/24から現場に戻る」というニュースもあり、それとごっちゃになって報道された可能性が大です。

トルコ原子力エネルギー機構(TAEK)によるトルコ国境での線量データ

トルコ原子力エネルギー機構(TAEK)による公式の発表 」(PDF)です。 国境での測定箇所(7箇所)の時系列の線量率グラフが添付されています。

左図はTAEK資料に地震発生時刻などを追記したものです。 右はTAEK資料にある地名とメタモール原発の位置にピンを打った地図です。 (土地勘があるわけではないので、地名で検索したところにピンを打っています。間違ってる可能性大です)



上図は参考のために私が作成したものです。調査の際は必ず元データ (PDF)/Web を参照してください。

TAEKによる観測地点の正確な地図はRadyasyon Erken Uyarı Sistemi Agi (RESA) にあります。

この記事の存在は、はてなブックマークにて教えていただきました。

その後の情報

アルメニアはMetsamor原子力発電所の近くで6地震観測を設定する予定

zamanの第一報

原文はトルコ語です。@tkmasher さんの協力により翻訳いただきました。感謝いたします。 翻訳に当たっては、トルコ人ネイティブの先生に確認していただいたそうです。

以下は、識者に翻訳いただけるまでの私の機械翻訳との試行錯誤の過程です。 不要だとは思いますが、記録のために残しておきます。

zamanの第二報

第一報の訂正記事です。日本語訳は東京外語大により翻訳されています。「アルメニア:地震は原子力発電所に被害を与えていない

(↓第三報にすべきかな? 2011/10/26記事)

AranNews.ir の報道

この報道は2010/10/29に見つけました。

Iran Japanese Radioの記事写真のクレジットが "AranNews.ir" になっていたのが気になって、ぐぐってみたら ペルシア語の記事を発見 しました。自動翻訳だと日付は1390年11月3日になってる。暦換算が必要ですね(@_@)/




日本語への自動翻訳 ではどうも変なので英文に翻訳した結果を下につけます。 どなたかお客様の中にペルシャ語に詳しい方はいらっしゃいませんか?

Damage to a nuclear power plant in Armenia following the earthquake in Turkey.

Armenia's nuclear experts to repair damaged parts of the plant started its activities have

Aran agency / service Armenia

The 'time' published in Turkey on Monday, quoting sources in the country's Atomic Energy Organization claimed that following the quake Sunday in East Turkey, the damage to nuclear plants 'Mtzamvr' ( Metzamor ) in Armenia, which borders the two countries has been entered.

Earthquake damage to a nuclear power plant in Armenia

Earthquake to the power 2 / 7 degrees on the inner scale (Richter) Sunday afternoon in Van province of Turkey near the Iranian border in the East were shocked that he survived the damage and casualties.

According to IRNA, the newspaper writes: Armenian experts to repair the damaged nuclear power plant has started its activity.

(ここに一文翻訳不能の文)

最後の、アルメニアの専門家が修理を開始した、というのはIRNA(イラン国営放送)による情報になってますね。

イランラジオの第一報



イランラジオの報道は AranNews.ir の記事を元にしています。写真右下を良く見ると AranNews.ir のクレジットが存在します。

なお、本記事の元になったzamanの第一報については、はてなブックマークにて教えていただきました。

アルメニア側がトルコを非難との報道

以前から小競り合いがあったようで、今回も素早く反論しています。

日本国内でも報道されました。日経記事には「【モスクワ=共同】」のクレジットがありますので、アルメニア→ロシア経由で日本に入ってきたと思われます。

イランラジオが第二報

訂正かと思ったら..内容の前半はトルコ紙 Milliyetをベースにしており、後半はイランラジオ第一報のコピペです。

メッリエトはMilliyet だろうか? 記事が今のところ見つからない。そもそもgoogleで「 "メッリエト"を検索 」すると、この記事をソースとする情報しか見つからない。 と、書いたら速攻で @kk789we さんに教えてもらえました!ありがとうございます。





イランラジオの第一報を丸パクリしたニュースがその後も流通

イランラジオの第三報



上記にあるイスナー通信の元記事は下記

イランラジオが第三報の内容を変更

こうした中、トルコのユルドゥズ・エネルギー大臣は、アルメニアの原発の閉鎖を求めました。アルメニアのメツァモール原発は、トルコとの国境から16キロ離れた地域にあり、この原発から漏洩した放射能が、隣国トルコや地域の安全を脅かしている、といわれています。
この原発は、ウクライナのチェルノブイリ原発と類似した技術を有しています。
EUも、アルメニアの首都エレバンから40南西に離れた場所にある、メツァモール原発の閉鎖を求めました。
これ以前に、トルコの新聞ザマンは、トルコ原子力庁内の情報筋の話として、最近トルコ東部で発生したマグニチュード7.2の地震により、メツァモール原発にも被害が及んでいると報じています。
この報道によりますと、メツァモール原発から放出された放射能の量は多くないものの、第1報の内容からして、この原発周辺で検出された放射性物質の値が、許容範囲をやや超えているということです。

アルメニア側がトルコを非難との報道の元情報

アルメニアエネルギー省記事

アルメニア側報道

ロシアでの報道

現在の線量率

それでも心配な貴方のために、リアルタイムで線量率を見れるサイトがあります。 2011/10/28 22:45現在、アルメニア国境付近のIgdirでの線量率は TAEK RESAでは 81nSv/h、 EURDEPでは 100nSv/h以下、となっています。



ニュースから

定期点検関連

メタモール原発は9月11日から定期点検(改装工事)のため停止しており、10月27日に運転を再開しました。この情報が「地震により損傷し修理」と伝わったものと思われます。 また、2基の原発のうちArmenia-1は1988年に停止したまま再開していないので(Wikipedia:メタモール原子力発電所 )、この間は全ての原発が止まっていたことになります。

賃上げ関連

待遇面の不満から10/20-10/24までストライキが行われていました。従業員がイランの原発に高給で引き抜かれている、という記事もあり給与面での不満があるのだと推測できます。

10%の昇給により10月24日に従業員が現場に戻ったと報道されていますが、これが10月23日の地震直後であることから、「修理のために従業員が現場に戻った」と誤解されたように思われます。

アルメニアエネルギー省記事

重複しますが、ここにも書いておきます。

トルコ原子力エネルギー機構(TAEK)にある情報

以前の放射能漏れ騒ぎの記事

本当に漏れがあったのかどうかわかりません。単にトルコ側で噂がでて調査しただけにも見えます。

メタモール原発での事故

過去に事故があったようです。 (事故詳細については調査中)

とあるサイトで「メタモール原発は過去に二度事故を起こしている」という記述があるんだけど、どこに情報あるんだろ。私は発見できてない。「Metsamor Nuclear Power Plant (Wikipedia英語版)」・「Metzamor Nukleer Santrali 」 (Wikipediaトルコ語版)にもそんな情報ないんだよな。 (教えていただきました )

アルメニアで使われる震度について

Wikipedia:震度 によると、「震度階級にはいくつか種類があるが、現在の日本では気象庁震度階級が使われており、日本では一般的にこれを「震度」と呼ぶ」。なので、上記海外記事にあるmagnitudeとかMとかを換算しないと、うまく判断できない。

1988年のアルメニア大地震に関連した記事「アルメニア大地震とアルメニア原子力発電所の閉鎖 (14-06-04-03) 」ではMSK震度階で表されており、また、Wikipedia:MSK震度階級 によると「ロシアなどのCIS諸国」で使われているということなので、アルメニア発の情報に関してはMSK震度階だと思われる。

Wikipedia:MSK震度階級 にある換算式を用いて無理やり換算表を作ると以下の通り。なお、検索をかけるといくつか換算表がでてくるけど、どれも公式のものではないようです。参考までににちゃんねる地震板のテンプレにある震度をつけておきます。 (MSK→日本の変換は誤差が大きく推奨されていないようです。あくまで目安として)

MSK震度階 日本震度階 地震板
1 0 震度0
2 0.3 震度1
3 1.0 震度2-
4 1.7 震度2+
5 2.3 震度3
6 3.0 震度4-
7 4.2 震度4+
8 4.8 震度5弱 震度5強
9 5.5 震度6弱-
10 6.2 震度6強
11 6.8 震度7
12 7.5 震度7++

耐震性に関する記事

Wikipedia:アルメニア地震 によると「地震発生時、震央から約90kmの地点にあるメツァモール原子力発電所は運転中であったが、被害は受けず、その後も正常な運転を継続していた」とのこと。@sionsuzukaze さんにいろいろ教えていただきました。

耐震技術は日本が提供?

togetter:実例で見る うわさが広まってデマになる過程の予想 では、下記の記事の信憑性に疑問が提示されています。ソースであるエネルギーレビュー誌の実物に当たらないとわからないかも。

危険性の指摘について

前々から危険性が指摘されてきました。

2011年4月にも指摘があり、その後、複数のメディアで取り上げられている。

5月13日付で国内2メディアが報道。たぶんこれはどこかに共通の元ソースがあるはず。 1988年のアルメニア地震の際に「メツァモール原発からスタッフが逃げてしまい、原子炉加熱の危機も生じていた」という記述があるが、これはどこの情報だろうか? 調査中。

日本とトルコ・アルメニアとの時差

誤報が世界各地に広がるかも

Iran Japanese Radio記事に添付されている画像で検索すると、日本国内にも海外にも当該記事を丸パクリしたニュースが見つかります。

調査中

ATOMICA資料

資料


その他


原子力発電所関連リンク

(以下はデマ・誤報の検証記事)










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Last modified : 2013/01/13 10:28:23 JST
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